【ハウスメーカー・工務店・設計事務所の違い】どこに頼んだらいいの!?現役建築士がわかりやすく解説!

後悔しない家づくり講座
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家づくりを始めたとき、最初に迷うのが「どこに依頼するか」問題。
ハウスメーカー? 地元の工務店? それとも設計事務所?
SNSや住宅展示場を見ても、違いがわかりづらくて不安になりますよね。

私は1級建築士として、さまざまな住宅の設計や相談に関わってきましたが、
友人・知人から聞かれるのは
「それぞれどう違うのかわからない」という声。

この記事では、ハウスメーカー・工務店・設計事務所、それぞれの特徴やメリット・デメリットをわかりやすく解説します。
あなたにぴったりのパートナーを見つけるヒントになれば嬉しいです!

それぞれの依頼先、どんなところ?

家づくりの依頼先には、大きく分けて3つの選択肢があります。

  • ハウスメーカー
  • 工務店
  • 設計事務所

名前は聞いたことがあるけれど、実際にはどんな特徴があるのか?
それぞれの違いを簡単に整理してみましょう。

ハウスメーカーとは?

住宅事業を展開する会社のこと。住宅展示場にも出店しており、その特徴を気軽に見学できます。
「商品化された住宅」が中心で、ある程度決まったプランから選ぶスタイルが多いです。
大手などは全国展開であることを武器に、ミスがあった時のフィードバック体制がとられているのでノウハウの蓄積という面で最強です。

大手が多く、経営基盤が安定しているため、長期的な保証やアフターサービスが充実していることが多いです。

意外と知られていないハウスメーカーの種類

  1. 大手ハウスメーカー: 全国規模で展開しており、知名度が高いのが特徴です。
    積水ハウス、ダイワハウス、セキスイハイム、住友林業、ヘーベルハウス、三井ホーム、一条工務店などが代表的。
  2. ローコストハウスメーカー: 比較的安価で住宅を提供しているハウスメーカーです。
    タマホーム、アイダ設計などが代表的。
  3. 地域密着型ハウスメーカー: 特定の地域に限定して展開している会社。
ハウスメーカーってどんな人に向いてる?|安定感・ブランド重視の方向け
  • 安定した品質と工期
  • 保証やアフターサービスが手厚い
  • モデルハウスで完成形をイメージしやすい
  • 設計の自由度はやや低め
  • 大量生産のコストメリットを受けられる
  • 規格やカタログの商品から変えたいことが多い場合は割高になる側面も

こんな人におすすめ:
「安心できる実績がほしい」「間取りはある程度決まっててOK」という人

「型式認定」という言葉を聞いたことがありますか?ハウスメーカーは設計の自由度が低いと言われていますが、その正体の一つが「型式認定」です。
型式認定をとっているハウスメーカーは、建てる上で壁の位置や量に縛りが色々と出てきます。

次の章で型式認定について説明します。少し難しく感じるかもしれませんが、設計自由度の低さの理由がわかり「どこに依頼するか」の参考になります。


【ハウスメーカーは自由度が低いの正体!】型式認定とは?家づくりの安心を支える仕組み

「型式認定」という言葉を聞いたことがありますか?聞き慣れない言葉かもしれませんが、これはハウスメーカーが提供する住宅の品質や安全性を国が認めた、いわば「お墨付き」のようなものです。

型式認定ってなに?

通常、家を建てる際には、その家の設計図が建築基準法に適合しているか、一つひとつ確認する「建築確認申請」が必要です。これは、皆さんが安心して暮らせるように、国が定めたルールに則って家が建てられるかをチェックする大切な工程です。

しかし、ハウスメーカーは同じ設計の家をたくさん建てることがありますよね。そのたびに毎回同じチェックをするのは、時間も手間もかかってしまいます。そこで登場するのが「型式認定」です。

型式認定は、特定のハウスメーカーが提供する特定の設計(型式)の住宅が、あらかじめ国によって建築基準法の基準を満たしていると認められる制度なんです。一度この認定を受けてしまえば、同じ型式の家を建てる際には、個別の建築確認申請の手間が大きく省けるようになります。


型式認定のメリット

型式認定があることで、消費者にはどんな良いことがあるのでしょうか?

  • 家づくりの期間が短くなる可能性がある 型式認定を受けている家は、建築確認申請の審査がスムーズに進みます。そのため、家づくりの工程全体が早まり、通常よりも早く新居に住める可能性があります。
  • 品質が国によって保証されている安心感 型式認定を受けるためには、厳しい審査基準をクリアする必要があります。つまり、そのハウスメーカーのその家が、国の定める高い品質・安全基準を満たしていることが保証されている、ということ。安心して家づくりを進められます。
  • 構造計算書の省略 通常、構造の安全性を確認する「構造計算書」の提出が必要ですが、型式認定を受けている場合はこの提出が免除されることがあります。専門的な書類の準備が省けることで、さらに手続きが簡略化されます。

型式認定のデメリット

良いことばかりのように見えますが、いくつか注意点もあります。

  • 間取りやデザインの自由度が低くなることも 型式認定は、あくまで「特定の型式」に対して与えられるものです。そのため、認定を受けている範囲内でしか設計を変更できないことが多く、完全にオリジナルの間取りやデザインを追求したい方には不向きな場合があります。
  • 型式認定がないと不安、ではない 型式認定を受けていないからといって、その家の品質が悪いわけでは決してありません。型式認定はあくまで手続きを効率化するための制度であり、認定を受けていない家でも個別に建築確認申請を通して、国の基準を満たしているかチェックされています。安心してくださいね。
  • コストに影響する場合も 型式認定を受けるための費用はハウスメーカーが負担しますが、その費用が間接的に住宅価格に反映される可能性もゼロではありません。

型式認知:まとめ

ハウスメーカーの型式認定は、特定の住宅が国の基準を満たしていることを示す「お墨付き」のようなものです。これによって、家づくりの期間短縮や品質の安心感が得られるメリットがあります。一方で、間取りやデザインの自由度が限られるといった側面もあります。

家づくりの際には、型式認定の有無だけでなく、ご自身のライフスタイルやこだわり、そしてハウスメーカーの担当者とのコミュニケーションを通じて、最適な選択をしてくださいね

工務店とは?

地域密着型の施工会社で、ハウスメーカーと違って規模は小さいですが、
その分、柔軟な対応力や現場との距離の近さが魅力です。

地域密着型で、建てた後のフォローも手厚いところが多いですが、保証内容は工務店によって様々です。契約前にしっかり確認しましょう。

意外と知られていない工務店の種類

  1. 独立系工務店:自社のなかに設計・大工・営業などを一通り抱えている工務店。規模が大きいハウスメーカーに近い規模の工務店もあります。
  2. 施工特価系工務店:独自の施工技術に強みがある工務店。自社に設計士はいないことが多く、設計事務所と組むことが多いです。
  3. 下請け系工務店:主にハウスメーカーなどからの下請け業務のみを請け負い工務店。通常は一般のお客様と直の取引や契約は少ないです。

他にも、リフォーム専門の工務店、店舗建築を得意としている工務店などがあります。

地元の工務店が向いているのは?|自由設計&地域密着を求める人に
  • 自由設計が可能(会社による)
  • コストを抑えやすい(大手HMなどのように広告等にお金をかけていない分安くできる)
  • 現場監督や職人との距離が近く、融通が利きやすい
  • 設計は外部に委託している場合も多い

こんな人におすすめ:
「自分たちらしい暮らし方ができる家にしたい」、「地域に詳しい人にお願いしたい」

設計事務所とは?

建築士が主宰する設計のプロ集団。プランニングから工事監理まで、
「設計にこだわりたい人」のためのパートナーです。

保証に関しては、設計事務所自体が保証するわけではありませんが、信頼できる工務店を紹介してくれることが多く、設計士が施工管理をしっかり行うことで品質の安心感を高めます。

意外と知られていない設計事務所の種類

  1. 個人設計事務所:自分一人で事務所を構え、住宅から店舗まで幅広く手掛けている設計事務所。個人の能力と経験に大きく左右されます。
  2. 企業設計事務所:会社として、スタッフ数人を抱える設計事務所。住宅建築は高額案件しか受けない事務所もあります。大型物件のノウハウ、多種多様な選択をすることができます。
  3. 組織設計事務所:大規模な建築を手掛け、建築士を多数抱える、通常あまり住宅設計は行わない。
設計事務所で建てるのはどんな人?|唯一無二の家にこだわりたい方向け
  • とことん自由設計
  • デザイン性や個性を追求できる
  • 工務店や施工会社とは別契約になる(設計と監理を担当してくれる)
  • 打ち合わせに時間とコストがかかる

こんな人におすすめ:
「唯一無二の、究極の理想の家を創りたい」、「自分だけの家をじっくりつくりたい」人

ハウスメーカー・工務店・設計事務所を比較!特徴がひと目でわかる7項目

ハウスメーカー・工務店・設計事務所には、それぞれ異なる特徴があります。
この記事では、デザインの自由度・性能・保証面など7項目について、
私自身の経験や業界の一般的な傾向をふまえて、わかりやすく5段階評価でまとめました。

※あくまで一般的な目安です。会社ごとに大きく異なる場合があるため、
最終的にはご自身の希望や優先順位に合わせて、実際に話を聞いて比較検討することが大切です。

ハウスメーカーは、自由度が限られる反面、性能や品質の一定基準が保たれている点が安心材料です。大手ゆえに保証制度やサポート体制も充実している傾向があります。

工務店は、比較的自由な設計が可能ですが、職人の技術力や経営方針によって品質のバラつきが大きいのが実情です。地域密着型のため、小回りがきくのが魅力です。

設計事務所は、自由度・デザイン性・設計提案に強みがあります。ただし施工は工務店に依頼するため、「誰に建ててもらうか」と「設計者の監理力」によって、完成度が大きく左右されます。

タイプ別おすすめ

家づくりのパートナー選びに正解はありません。
だからこそ、自分や家族にとって「何を大切にしたいのか?」を明確にするのが第一歩です。

ここでは、それぞれの依頼先がどんな価値観やライフスタイルの人に向いているかを具体的にご紹介します。

ハウスメーカーが向いている人

  • 忙しくて打ち合わせに時間をかけられない
  • 標準化された仕様でも満足できる
  • 住宅展示場で完成イメージを確認したい
  • 長期保証・ブランド・会社の安定性が安心材料になる

→「とにかく安心・時短・ブランド重視派」向け

工務店が向いている人

  • 地元の気候や土地に合った提案をしてほしい
  • 細かい要望を現場レベルで相談したい
  • 自分たちで気に入ったショールームに行き設備を選びたい
  • ハウスメーカーよりコストを抑えたい

→「柔軟性とコスパ重視のリアリスト」向け

設計事務所が向いている人

  • 世界に一つだけの“こだわりの家”を建てたい
  • デザイン性や素材の選定に妥協したくない
  • 生活スタイルに合わせてゼロから間取りを考えたい
  • 完成までに多少の時間がかかってもいい

→「住まい=作品。とことん理想を追求したい派」向け

家づくりは「人選び」でもあります。
“自分が信頼できる相手”に出会えることが、成功の第一歩。

迷ったときはここを見て!|依頼先選びで後悔しない3つのチェックポイント

家づくりで一番避けたいのは、「こんなはずじゃなかった…」という後悔。
でも実は、最初の依頼先選びで失敗してしまうケースがとても多いんです。

ここでは、よくある後悔パターンと、事前にチェックしておきたいポイントを紹介します。

❌ 「とにかく大手だから安心」と思い込んでしまう

ハウスメーカー=安心というイメージが先行して、提案内容をよく見ずに進めてしまう方も多くいます。

特にありがちなのが、間取りの自由度が低いことへの不満
「最初に提示されたプランがほぼ確定で、変更は有料」「生活に合っていないけど諦めた」などの声も。

チェックポイント
  • 間取りの自由度は?
  • プラン変更にかかる費用は?
  • 担当者の対応スピードや相性は?

❌「値段が安いから…」で即決してしまう

工務店のコストパフォーマンスに惹かれて即決したものの、
「提案力が弱く、最終的に自分たちで決めることが多すぎて疲れた」
という声も少なくありません。

また、現場レベルでの打ち合わせが中心になるため、イメージの共有不足がトラブルの原因になることも。

チェックポイント
  • 設計者と施工者は別?一体型?
  • こちらの要望をどこまで形にしてくれる?
  • コミュニケーションは取りやすい?

❌「こだわりすぎて予算オーバー」になってしまう

設計事務所に依頼する場合、「こだわりたい気持ち」がどんどん膨らんで、気づけば予算が数百万オーバーということも。

実際、私がこれまでに関わった中でも、
「木とアイアンを使ったおしゃれな造作棚」や「ファミクロに間接照明」など、
生活より“映え”を優先して後悔した方もいました。

💡 “ファミクロ失敗”に学ぶ!|間取りは「誰と作るか」が超重要

あるお施主様から、こんな声をいただいたことがあります。
「Instagramで見たファミリークローゼットが素敵だったから間取りに入れたけど…実際は動線が悪くて、誰も使わなくなった」と。

これは、“設計者と暮らし方をすり合わせないまま決めた”典型例です。
収納量や通路幅、使う人のタイミング──こうした日常のリアルまで踏み込んで考えることが、本当に使いやすい間取りにつながります。

家づくりは「見た目」や「価格」だけで決めてしまうと、暮らし始めてから必ず“ズレ”が生まれます。

後悔を防ぐ一番の方法は、
「自分たちの暮らしをよく知ること」+「それを丁寧に共有できる相手を選ぶこと」。

この2つに尽きます。

チェックポイント
  • 自分の意見を押し通そうとする、「こだわり強めな建築家」じゃない?
  • 「流行ってますよー!でごり押し」してくる提案力のない営業マンじゃない?
  • 数をこなすのにせいいっぱいになってる「案件抱えすぎの設計者」じゃない?

まとめ|「どこに頼むか」は、“何を重視するか”で決まる

家づくりのパートナー選びは、最初の一歩にして最大の分かれ道です。
ハウスメーカー・工務店・設計事務所、──それぞれに強みや個性があるからこそ、
「自分たちが家づくりで何を一番大切にしたいのか?」を明確にすることが大切です。

例えば、こんな優先順位の違いがあります
・間取りの自由度を重視したい?
・ブランドや安心感を重視したい?
・コストとのバランスをとりたい?

その答えは家族ごとに違っていて当然。
あなたの価値観や暮らし方に合った“信頼できる相手”と出会えるよう、焦らずに、しっかり情報を整理して進めていきましょう。

最後に一つだけ、家は資産です。
経営が安定している会社を選ぶことは、長く安心して暮らすための大前提になります。
2025年5月には新潟市・佐賀市の住宅メーカーが突然の事業停止を発表しました。
近年の資材高騰もあり、住宅建設費用は年々上昇しています。
そんな中で、経営体力が弱い会社を選ぶと、取り返しのつかない事態に発展する可能性もあります。

「理想の暮らし」をカタチにしたい方へ

家づくりは、たくさんの情報を見ているうちに、
「自分たちが本当に大事にしたいこと」がわからなくなってしまうこともあります。

そんなときは、一度立ち止まって
「どんな暮らしがしたいか?」から整理してみるのがおすすめです。

私は建築士として、
ご家族の想いや希望を一つひとつ形にするお手伝いをしています。

✔ 自分で描いた間取りをプロの目で見て清書してほしい
✔ 希望を図面にまとめたけど、綺麗にかけなくて困っている

そんなときは、ココナラで提供している「間取り図の清書サービス」をぜひご活用ください。

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\ あなたの理想の家づくり、応援しています! /

次回予告|“憧れ”でつくった間取りに後悔しないために

どんなに立派な会社や素敵な提案でも、
それが“あなたの暮らし”に合っていなければ意味がありません。


次回は、そんな“ちょっとしたズレ”が後悔につながったリアルな事例をもとに、今や大人気の「ファミリークローゼット(ファミクロ)」について、
実際に寄せられた失敗談や後悔の声をもとに、間取りで気をつけたいポイントを建築士目線で深掘りします。

「なんとなく良さそう」でとり入れたけど、実は使いにくかった…
そんな悲しい後悔をしないために、リアルな声とプロのアドバイスをお届けします!

どうぞお楽しみに☺️