なんとなく良さそうで取り入れたけど、実は使いにくかった…
ここ数年、「ファミリークローゼット(通称:ファミクロ)」という言葉をよく耳にするようになりました。
家族の衣類や荷物をひとまとめに収納できるファミクロは、「家事がラク」「生活動線がスムーズ」などのメリットが注目され、SNSでもおしゃれな事例が数多く紹介されています。
でも実は、ファミクロを取り入れた人の中には、「ちょっとしたズレ」で後悔したケースも少なくありません。
せっかく家づくりに取り入れたのに、「思ったより使いにくい」「結局物置になった」なんて悲しい話は避けたいですよね。
この記事では、実際に寄せられた失敗談や後悔の声をもとに、
間取りで気をつけたいポイントを一級建築士の視点から深掘りしていきます。
家族全員が快適に使える「ちょうどいいファミクロ」を見つけるヒントになればうれしいです。
こんなはずじゃなかった!ファミクロでよくある後悔3選
ファミクロに関する後悔や失敗は、大きく3つに分けられます。
どれも「よかれと思って」取り入れた結果、生活とのズレが生じてしまったパターンです。
1|遠すぎる&動線が悪くて面倒に…
ファミクロを「2階の奥」や「寝室の隣」に配置した結果、
朝の着替えや帰宅後の荷物整理が面倒になってしまったという声は多くあります。
たとえば…
- 子どもがリビングで服を脱ぎっぱなしにする
- 玄関から荷物を持って、わざわざ2階のクローゼットまで運ぶのが大変
- 洗濯後のしまう作業に、毎日“階段往復”が発生…
これはすべて、「動線」の視点が抜けていたことが原因です。
どんなに広くて収納力があっても、日常の流れに合っていないと結局使わなくなるんです。
2|みんなで使えない!空間の狭さと管理のしにくさ
「ファミリー」クローゼットなのに、実際には家族みんなで同時に使えないケースもあります。
- 中に入れるのは1人がやっとで、誰かが使っていると他の人が待つことに…
- 子どもが手が届かない場所に服を置いてしまい、結局親が取ってあげる羽目に
- 仕分けができていなくて、家族の衣類がごちゃ混ぜになる
これらは、広さやレイアウト、誰がいつ使うかという想定が不十分だったパターンです。
ファミクロは「共有スペース」だからこそ、“使う人数”と“時間帯”を意識して設計することが大切です。
家族人数分の仕切り(ロッカー風)にすると管理がしやすくなります。
3|結局入りきらない!収納量と入れるモノのミスマッチ
「SNSで見たおしゃれなファミクロ」を再現したけれど、実際に収納しようとしたら入りきらなかった…
これもよくある後悔です。
- スーツケースや季節家電などの“規格外の大物”の居場所がない
- ハンガーパイプはあるけど、畳んで入れる収納が足りない
- 来客用布団やコートなど、使用頻度の低いモノがしまいにくい
ハンガーパイプ1mあたりの目安は、冬物アウター:約14着、シャツ類:約22着。
パイプだけに頼るのではなく、枕棚(45~60cm)を活用して布団やストック品を上に収納する工夫も必要です。
次のパートでは、これらの後悔を防ぐための「間取り設計のチェックポイント」を紹介していきます。
動線・収納量・使い方、この3つをしっかり押さえて、後悔しないファミクロを目指しましょう!
失敗しない!ファミクロ設計のチェックポイント
ここからは、後悔しないファミクロを作るために設計段階で押さえておきたいポイントを紹介します。
暮らしの導線、家族構成、収納するモノの特徴──この3つを丁寧に考えることで、「ちょうどいい」が見えてきます。
1|まず“動線”を設計の軸にする
どこで脱ぎ、どこで着るのか?
まずは生活動線の流れをイメージすることが大切です。
設置場所 | メリット | 向いている家庭 |
---|---|---|
洗面・脱衣所の横 | 洗濯動線がスムーズ | 洗濯〜収納まで家事効率を重視 |
玄関近く | 上着やカバンをすぐにしまえる | 帰宅後の荷物整理をラクにしたい |
寝室や廊下付近 | 就寝前・起床時の着替えがしやすい | プライバシーを重視したい |
また、ファミクロには「ウォークインタイプ」と「ウォークスルータイプ」があります。
タイプ | 出入口 | 特徴 |
---|---|---|
ウォークイン | 1方向出入り | 奥まった場所に設置しやすく収納力大 |
ウォークスルー | 2方向出入り(回遊性あり) | 洗面〜寝室や廊下をつなぐ動線に組み込みやすい |

2|“誰がいつ使うか”を明確にする
共働きの家庭では「朝の準備ラッシュ」が重なることも。
そんな時にファミクロが狭いと、家族同士でぶつかり合ってしまいます。
- 家族全員で使うなら2人以上が同時に入れる広さを確保
- 子どもが小さいうちは親の手伝いがしやすい配置
- 成長後は個人別の収納スペース(ロッカー風)が有効
- ペットのいる家庭は、ペット服・フード・シーツなどの収納場所も忘れずに
また、着替えやすいスペースがあるかどうかも大切です。
ただ通路に服を並べただけでは、結局リビングや脱衣所で着替えることになり、ファミクロが機能しなくなってしまいます。
3|収納するモノの“サイズ感と頻度”を確認してから設計!
設計前に「何を収納したいか?」を整理しておくことは、後悔を減らす最大のカギです。
“かさばるモノ”や“長期保管するモノ”は意外と多いもの。
すべてをファミクロに収納したいなら、ハンガーパイプだけでなく、可動棚やボックス収納も組み合わせると柔軟に対応できます。
また、使用頻度が低いモノは高い位置に、よく使うモノは出し入れしやすい場所に──
こうした「収納の使い分け」も暮らしやすさにつながります。
ファミクロを作るとどうなる?暮らしの変化とメリット
ファミクロは、上手に使えば日々の暮らしに大きな変化をもたらしてくれます。
注意点|ファミクロのデメリットにも目を向けて
もちろん、ファミクロにはデメリットもあります。
- 思春期の子どもにとってはプライバシーが気になる空間
- 朝の身支度が家族全員同じ時間帯に集中すると混雑
- 特に子どもが大きくなると、一緒に着替えるのが難しくなる
こうした事態を防ぐには、小さくても各部屋にクローゼットを設ける“併用型”がおすすめ。
家族で共有しつつ、それぞれのプライバシーも大切にできます。
まとめ|「自分たちの暮らしに合った」ファミクロを選ぼう
ファミリークローゼットは、流行だからといって「とりあえず取り入れる」ものではありません。
大切なのは、「自分たちの暮らしに合うか?」を基準に設計すること。
✔︎ 動線にムリはないか?
✔︎ 誰がどう使うのか想定できているか?
✔︎ 入れるモノの量や種類をちゃんと把握しているか?
✔︎ 子供の成長も考慮できてる?
この4つを意識するだけでも、後悔のないファミクロにグッと近づきます。
ファミクロは、使い方次第で家事をラクにし、暮らしを整える強い味方になります。
家族と一緒に、自分たちにぴったりのファミクロを見つけていきましょう!
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